■ プロフィール

Author: ねこ 
猫愛妻家。
持ち物全てを猫(黒猫だと尚いい)で染めようと密かに目論んでいる。

小咄は明るいモノよりも暗いモノを好みます。
一人称で意味不明な文をつらつら書く傾向が多々みられます。
でも心の奥深くではオールジャンルに対応できる人間になりたいと密かに思っております。

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幸いなるは無知



遅くなりましたが更新。


本日のお題

    神様の悪戯10

「幸いなるは無知」


そうであることが当たり前だと言うように、僕の前で幼さを残したまま笑う彼の表情もまた、そうであることが当たり前なのだ。
記憶も定かでない頃から彼の周囲を取り巻いていたものが、彼にとっては当たり前となって存在している。
美しいものも、汚らしいものも、全てのありのままが彼にとって普遍的存在として存在している。
前者で言ったものが当たり前と言うならば、僕自身の存在も彼にとっては当たり前でしかないのだろう。
目の前に広がる光景が全てであり、当たり前だと思い込んでいる彼。
その姿に安堵の息を漏らすこともあれば、その反対の感情を抱く時だって存在する。
それが、僕にとっては彼で言う当たり前であるから。

絶えず笑顔を浮かべている彼に、本当のことを話したら?
きっと彼は自信を含めた全てに絶望するだろうし、当たり前を否定することなんて出来ないんだろう。
そんな彼の姿をみることは僕自身が許さないし、もしそんな輩が現れたりなんかしたら、きっと僕は全力で彼を守るんだろう。
この世界の理を知っている者からすれば、突きつけられた現実というのはとても残酷なものだということを理解しているから。
当たり前であることを捨てて生きることが、どれ程苦痛なものであるかを理解しているからこそ、彼の中の当たり前を消し去りたくはないのだ。

彼から当たり前と言う現実が喪失した瞬間に、僕はきっと彼を悲しませることしかできないと言うことを知っている。
だからこそ、彼にはこの先の年月の当たり前を失ってほしくはないのだ。
欲しくはない、と言うのは間違っているのかもしれないのだが。

ただ、知らない方が幸せなのだという現実も存在するのだと、僕は思うのだ。
そうすることで彼の自然な笑みをみることができるのならば、僕は何をしてでも彼の当たり前を守り続けるのだと、そう思う。














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