■ プロフィール

Author: ねこ 
猫愛妻家。
持ち物全てを猫(黒猫だと尚いい)で染めようと密かに目論んでいる。

小咄は明るいモノよりも暗いモノを好みます。
一人称で意味不明な文をつらつら書く傾向が多々みられます。
でも心の奥深くではオールジャンルに対応できる人間になりたいと密かに思っております。

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でも、それでも、傍に居たいっておもったよ



本日のお題

    独白5題+台詞5題

「でも、それでも、傍に居たいっておもったよ」


沈んだ太陽が再び息を吹き返すように世界を照らした。
体に染み付いた時間間隔が離れず、私は太陽が浅く昇り始めるのと共に体を起こした。
野宿も出来るようにとある程度持ち物を用意したものの、やはり朝の森は冷えていて手先がひんやりとしていた。
視界に映る幼い顔立ちをした主人は寒さに眉をひそめている。
これでも立派な青年なのだと思うと、不意に笑みが零れてくる。

自分の体を纏っていた防寒具を取り去って主人の体に掛け、肩から腕までの距離を数回擦ってから腰をあげて伸びをする。
深く息を吸い込むと、未だ温もっていない空気が体の中へと入り込んでくる。
吸い込んだ息を吐き出すと、薄い層になって消えていくのが目に映った。

目を閉じて、昨日主人が私に言った言葉を思い浮かべてみる。
間違っていると思うか、と口にした主人の表情がとても思いつめていたように思える。
そんな表情を目の当たりにすると、何と答えてよいのか分からず、言葉が詰まった。
どのように答えても、主人は納得しないということは分かっていたからそうしたと言えば自己防衛にしかならないのだが。

正直なところ、私自身もどのような選択が正しかったのかは分からなかったのだ。

「フレイン……?」

名前を呼ぶ声が耳に届き、私はその方向へと視線を流した。
ゆったりとした動きで体を起こして伸びをした後、数回瞬きをしてから主人は私を見た。

「おはようございます、ラスティル様。よく眠れましたか?」
「……こんなところでよく眠れてたまるか」

悪態をついてから遠くの方を見つめる主人の表情は、やはりどこか陰っていた。
主人がそんな顔を見せるのは普段からだったが、今の方がずっと清々しいような気がした。
その表情を見ると、自分の仕える主人が決意したことは間違っていなかったのではないかと思う。
だが未だに結論を出せずにいる主人のことだ、いつ元の表情に戻るかは分からない。
そう考えると、主人の傍に居続けなくてはならないと言う使命感が沸いてくる。

しかし、使命感と表すのは少々間違っているかもしれない。
ただ、私がずっと傍に仕えていたいだけと言うのが本当のところだ。

「ずっと此処に居ても埒があかない。けど、この街には居られない。……フレイン、どこへ行こうか」

いつの間にか荷物をまとめ始めた主人の姿があった。
ここで私が手を貸せば、余計なことをするなと釘をさされるのは分かっている。
なので、主人に掛けた防寒具のみを鞄の中に押し込んでおいた。

「どこでも構いませんよ。ラスティル様がお決めになったところならどこへでも」
「……なら、俺が死後の世界に行くとでも言ったらついてくるのか、お前は」
「勿論です。主人のお傍に居ることが私の役目ですから」

じっと私を見つめた後、呆れたように息を吐き出した主人は私の腕を取り歩き出した。
何故だかその姿がとても可愛らしく感じて、抑えていた小さな笑い声が口から零れた。














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